無常迅速

生死事大 光陰可惜 無常迅速 時不待人


時間を惜しまなければならない。

時は人を待ってくれない。

無駄に過ごして死を待つような

事ではいけない。

 

修行道場に入る時、はじめに鳴らす木の板「木板」(もっぱん)に記されている文字。

 

 山と盛られた雪の下側からは、前日溶けた水がガチガチに凍り付いた道を歩いて、山門に到着。逃げ出したい気持ちを抑えて、木板に近づく。これを鳴らせば、修行がはじまる。これを鳴らさなければ、一般人のままで居られる・・・。はずもなく、地元に寺には帰れない。

 ため息と共に、心をふるいたたせて、木槌(木のトンカチ)を握りしめて、木板の下についている縄を斜め手前にひいて、この修行道場に居るすべて僧侶に聞こえるように、力いっぱいに叩く。

 修行をできるのは、今しかない。この身体を使い、行を修めるのは、今しかない。と自分に言い聞かせながら打つ。打つ。鬱。

 

 だからと言って、すぐに事は進まない。本気なのかどうかを見極めるために、すぐにだれかがでてくる事もない。この時点で帰った人も知っている(が、彼は今なにをしているのだろうか?)。1分、5分 10分、30分 1時間。藁を手作りで編んだ草履は水分をたっぷり含み、手足の感覚は寒さでほぼ無くなる。

 時計を持参することはできない、太陽もまだ出てはいない。正確な時を量ることはできないが、やがて担当である古参和尚(先輩僧)が現れる。


師匠である 父親も 同じ道をたどり

弟子である 息子も 来年道をあゆむ。

 

無常迅速 人生は短い。

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